海を汲み、火を焚き、塩になる。 ― 天草・通詞島、一週間の塩づくり。
海を汲み、火を焚き、一週間。天草・通詞島の風景を届ける「嘉六屋鹽」

いつもの料理に、ほんのひとつまみ。
私たちが普段、何気なく使っている「塩」。
その一粒が、どこの海から来て、どんな時間をかけてつくられているのか。
そんなことを考える機会は、意外と少ないのかもしれません。
今回、ウトマチ百貨店がご紹介するのは、熊本・天草の海から生まれる「嘉六屋鹽(かろくやえん)」の釜炊き塩。
海水を汲み、火を焚き、一週間。
時間をかけて海水から塩をつくる人たちがいます。
一粒の塩ができるまでをたどっていくと、その向こうには、天草・通詞島の美しい海と、自然に向き合う人たちの丁寧な手仕事がありました。

塩づくりのはじまりは、天草・通詞島の海。
熊本県天草市五和町。
天草下島の北部に位置する通詞島(つうじしま)。
外海に面し、黒潮が流れ込む豊かな海に囲まれた場所です。
嘉六屋鹽の塩づくりは、この通詞島の海から始まります。
原料となるのは、
通詞島の海水、100%。
とてもシンプルです。
だからこそ、どんな海水を使うのかを大切にしています。
より清らかな海水を得るために、海の時間に合わせて海水を汲み上げます。
人間の都合に海を合わせるのではなく、人が海の時間に合わせる。
塩を炊くよりも前から、自然と向き合う仕事は始まっています。
海水を、一週間かけて「塩」に育てる。

汲み上げた海水は、大きな平釜へ。
ここから、嘉六屋鹽の釜炊きが始まります。
海水の塩分濃度は、およそ3%。
それを大きな平釜でじっくりと炊きながら、水分を飛ばしていきます。
目指すのは、約20%。
そこまで濃縮するためにかかる時間は、
およそ一週間。
数時間でも、一日でもありません。
一週間です。
海水の状態を見ながら、火と向き合い、少しずつ濃度を高めていく。
そして「通詞島の塩」は、濃縮した海水をさらに大きな平釜で炊き上げ、白い塩の結晶へと仕上げていきます。
最後の仕上げまで、すべて手作業。
天候にも左右されるため、大量生産には向きません。
それでも、自然と向き合いながら、一つひとつ丁寧につくる。
その時間そのものが、嘉六屋鹽の味をつくっています。
「白い塩」をつくる、ステンレスの平釜。

嘉六屋鹽の塩づくりには、もう一つ特徴があります。
使用しているのは、
ステンレス製の平釜。
鉄釜の場合、錆が付着することで海水や出来上がった塩が赤く変色することがあります。
そこで嘉六屋鹽ではステンレス製の釜を使い、海水そのものの色や味をできるだけ損なわない塩づくりをしています。
そうして出来上がるのが、嘉六屋鹽の特徴でもある、
「白」が際立つ塩。
私たちが手にする一粒の白さにも、つくり手の選択と工夫があります。
塩なのに、どこか甘い。

出来上がった嘉六屋鹽の塩。
口にしてみると、ただ「しょっぱい」だけの塩とは少し違います。
やわらかな甘み。
そして、口の中にすっと馴染んでいくような、まろやかさ。
強い塩味で素材を覆うのではなく、素材が持っている味を引き出してくれるような塩です。
だからこそ、最初はシンプルな料理で味わってみてください。
炊きたてのご飯でつくった、塩むすび。
これだけでも、塩の違いを感じてもらえると思います。
ほかにも、
・新鮮な刺身
・揚げたての天ぷら
・焼いた肉や魚
・採れたての野菜
・漬物
などにも。
特別な料理をつくらなくても大丈夫です。
いつもの料理に、ほんのひとつまみ。
毎日の食卓で使うものだからこそ、その違いを日々の料理の中で楽しんでもらいたい塩です。
一粒の塩をつくるために、一週間。

スーパーに行けば、いつでも塩を買うことができます。
料理に使う量も、ほんの少し。
だから私たちは普段、「この一粒がどうやってできたのか」を考えることはほとんどありません。
でも、嘉六屋鹽の塩づくりを知ると、その一粒の見え方が少し変わります。
満潮を待つ。
海水を汲む。
大きな平釜へ入れる。
火を焚く。
一週間かけて濃縮する。
さらに釜で炊き上げる。
そして、人の手で仕上げる。
海を汲み、火を焚き、待つ。
言葉にすると、とてもシンプルです。
でも、自然を相手にする仕事だからこそ、人の思い通りにはいきません。
天気も違えば、海の状態も違う。
その変化に向き合いながら、一釜、一釜、塩をつくっていく。
一粒の小さな塩の中には、そんな長い時間が詰まっています。
届けたいのは、塩だけじゃない。

嘉六屋鹽が届けたいのは、単なる調味料としての「塩」だけではありません。
その一粒の向こう側にある、
天草の海。
通詞島の風景。
自然とともにある暮らし。
そして、そこで塩をつくる人たちの仕事。
塩と一緒に、天草の海や空気、その土地の魅力まで届ける。
その考え方は、ウトマチ百貨店が地域の商品を紹介するときに大切にしていることとも重なります。
ウトマチ百貨店が届けたいのも、単なる「熊本のおいしいもの」だけではありません。
なぜ、この商品がここで生まれたのか。
誰が、どんな場所でつくっているのか。
どんな自然や文化、暮らしがその背景にあるのか。
商品を入口にして、その土地のことを少し知ってもらう。
そして、いつかその場所へ行ってみたいと思ってもらう。
そんな地域とのつながりまで、一緒に届けたいと思っています。
一粒の塩から、天草・通詞島へ。
いつもの料理に、ほんのひとつまみ。
その小さな一粒の向こう側には、
黒潮が流れ込む天草の海があります。
満潮を待って、海水を汲む人がいます。
大きな平釜があります。
一週間、海水と火に向き合う時間があります。
そして、海水が白い結晶へと変わっていくのを見守る、人の手があります。
塩を味わう。
その背景を知る。
そして、その向こうにある地域を知る。
一粒の塩から、天草・通詞島へ。
海と火と、人の手から生まれた「嘉六屋鹽」。
いつもの食卓に、天草の海の恵みを。
ウトマチ百貨店からお届けします。
