【宇土市網田町】福の内農園 堀内勇一さんのみかん

【宇土市網田町】福の内農園 堀内勇一さんのみかん

未来へつなぐ、やさしい甘さ——福の内農園・堀内さんのみかん

熊本県宇土市走潟町。
潮風がやさしく吹き抜ける丘の上に、福の内農園の畑は広がっています。
青空の下、つややかに色づくみかんの木々。その一つひとつに、堀内さんのまっすぐな想いが込められています。


受け継いだ畑、はじまりは家族の絆から

福の内農園を支えるのは、堀内勇一さん。
元々は別の仕事をしていましたが、結婚を機に妻の実家である農家を継ぐことを決意しました。

義父である福島さんが長年守り続けてきた畑を、「この景色を残したい」という想いで受け継ぎました。
「最初は、正直不安の方が大きかったです。けれど、義父の背中を見ながら畑に立つうちに、“この仕事は人を育てる”と感じるようになりました」

勇一さんの手には、今も義父から教わった剪定ばさみが握られています。
それは、家族の絆とともに受け継がれた“みかんづくりの心”でもあります。


「土」から育てる、やさしい甘み

福の内農園では、極早生みかん「豊福」を中心に、柑橘の栽培を行っています。
朝晩の寒暖差が大きく、太陽の光をたっぷり浴びた宇土の土地は、みかんづくりにぴったりの環境です。

「美味しいみかんは、木と土が教えてくれる」——そう語る堀内さん。
除草剤をできるだけ使わず、草の根が土をふかふかに保つように。
肥料も、木の力を信じて必要最小限に。

時間はかかりますが、自然の流れに寄り添うことで、やさしい甘みと酸味のバランスをもった果実が実ります。
皮をむいた瞬間、ふわっと香る爽やかさ。それは、宇土の風と陽の光をそのまま閉じ込めたようです。


「次の世代にも、この景色を」

「畑ってね、誰かが手を入れ続けんと、すぐ山に戻ってしまうんです」
堀内さんは静かにそう語ります。

畑を守るということは、みかんを作るだけでなく、地域の風景や暮らしを守ることでもあります。
義父から受け取った畑を、今度は自分が次の世代へと渡していく——。

「うちのみかんを食べた人が、“また食べたい”と思ってくれたら、それが一番嬉しい。
その一言が、畑を続ける力になるんです。」


ひと房の中に、物語がある

ひとつひとつ手で収穫される福の内農園のみかん。
その小さな果実の中には、家族の想い、地域の自然、そして未来への願いがぎゅっと詰まっています。

「みかんって、人を笑顔にする果物だと思うんです。
食べた瞬間、“ああ、しあわせだな”って感じてもらえるような、そんなみかんをつくりたいですね。」

太陽のように明るい笑顔で話す堀内さんの姿に、宇土のあたたかさが重なります。

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